間質性肺炎・肺線維症の利用者への対応。訪問介護で注意したいポイントとは?
今回はで高齢者によくみられる病気の一つ「間接性肺炎・肺線維症」について訪問介護で気を付けたいポイントを解説します!
高齢者によくみられる病気のひとつ「間質性肺炎・肺線維症」とは?
肺は肺胞という小さな袋が集まってできており、私たちはこの肺胞の壁を通じて酸素を取り込んでいます。
間質性肺炎とは、この肺胞の壁に炎症や損傷が起こる病気の総称です。
間質性肺炎は間質にさまざまな原因から炎症がおこり、壁が厚く硬くなり(線維化)、血液中に酸素が取り込まれにくくなります。さらに、線維化が進むと、蜂巣肺(ほうそうはい)と言われるような多数の穴(嚢胞)が出現します。
間質性肺炎は肺という臓器そのものの病気で、比較的ゆっくり進行する病気だと言われています。
間質性肺炎・肺線維症の原因
間質性肺炎はさまざまな要因から発症します。
- 膠原病
- 関節リウマチ
- 健康食品
- 薬剤の影響
- ウイルス、細菌
- 職業上の粉塵吸入
- ペット飼育などの住環境
- 遺伝的要因
などが原因とされています。
ただし、原因が不明の特発性間接性肺炎は、肺がんを引き起こすリスクが高いとされています。
風邪で急激に病状が悪化し、致死率が50%以上を超える急性増悪になる事もあります。
早期に受診が必要な危険な病気であると言えます。
間質性肺炎・肺線維症の症状
- 呼吸困難
- からせき
- 労作時の息切れ
- 発熱
- 倦怠感
などの症状が現れます。
間質性肺炎・肺線維症検査について
問診・聴診
- 息切れや空咳などの症状の確認
- 息を吸ったときの異常な呼吸音(バチバチ、バリバリというマジックテープのような音)の聴診
胸部X線検査
- 肺の大きさの変化
- 肺活量の確認
血液中の酸素飽和度を測る検査
- パルスオキシメーターという機械を指に挟み、血中酸素飽和濃度が何%か測定します。痛くありません。
肺生検
- 進み具合を判断する為に肺の組織を採取し、状態確認
気管支肺胞洗浄液(BALF)の検査
- 気管支鏡という細くて柔らかいカメラを使用して白血球(リンパ球など)を確認
6分間歩行試験
- 6分間、平地を歩行、肺や心臓にどれ位負担があるか確認
間質性肺炎・肺線維症検査の治療法について
間質性肺炎の治療は、内服薬による薬物療法、呼吸器リハビリテーション、肺機能が著しく低下している場合は在宅酸素療法(HOT)を行います。
内服薬について
を使用し治療します。
また病状が進行すると、抗線維化薬やステロイドと免疫抑制薬の併用、NAC(Nアセチルシステイン)吸入などを症状に応じて行います。
※抗線維化薬とは、肺の線維化を抑える作用のなる薬剤です。ピレスパなど。
「間質性肺炎・肺線維症」について訪問介護で注意したいポイント
間質性肺炎・肺線維症について解説しましたが、そんな高齢者に対してヘルパーが介護する際に日常生活で気を付けるポイントは下記のとおりです。
①発熱や乾性咳嗽(かわいた咳)の対応は主治医に報告し処置の指示を仰ぐ
②バイタル測定に加えて酸素飽和度の確認(SpO2 96~99%が理想的)
③呼吸苦や咳嗽がある時は安静を促す
④薬の使用方法について個人管理が難しい場合は服薬介助を行う
⑤呼吸苦があり入浴がつらい時はシャワー浴や清拭、足浴に変更する
⑥掃除をこまめに実施し、清潔な環境を整備する
⑦在宅酸素療法を行う場合の取り扱い方、酸素の量を確認しておく。また酸素の機械は引火の恐れがある為、付近にライターや近くで喫煙はしない。
⑧薬の副作用に注意する。(抗線維化薬の場合、光線過敏症や胃腸障害など)
さいごに
今回は高齢者によくみられる疾患である「間質性肺炎・肺線維症」について解説しました。
間質性肺炎(肺線維症)は、色々な原因があり長期間の治療が必要な場合も多いため、精神的なストレスも出てきます。また「息切れが激しくなった」「熱が続く」などの症状があれば特発性肺線維症の急性憎悪になっている可能性もありますので、通院をし早急に治療を開始しましょう。