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「皮脂欠乏症・皮膚搔痒症・脂漏性皮膚炎」とは?訪問介護で注意したいポイントを解説

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今回はで高齢者によくみられる病気の一つ「皮脂欠乏症・皮膚搔痒症・脂漏性皮膚炎」について訪問介護で気を付けたいポイントを解説します!

 

高齢者によくみられる病気のひとつ「皮脂欠乏症・皮膚搔痒症・脂漏性皮膚炎」とは?

 

  • 皮脂欠乏症・・・乾皮症とも言います。簡単に言いますと乾燥肌のこと。皮膚の脂が減少し皮膚の水分が減る事で皮膚の乾燥する状態。年齢が高い方の発病が多い。かゆみを伴い掻くと増悪して湿疹になる事があります。
  • 皮膚搔痒症・・・皮膚の脂が減少し皮膚の水分が蒸発して乾燥をする事で炎症などの変化をおこします。皮膚に湿疹はありませんが、かゆみはあることがあります。高齢者では皮脂や水分の分泌が低下し皮膚が乾燥してかゆみを感じることが多くあります。かゆくて眠れない 強く搔いてしまい皮膚を傷つける事も多いです。
  • 脂漏性皮膚・・・はっきりした理由はわからないですが、女性より中年男性に多いです。皮脂や汗の多い所にできます。毛髪の生え際、耳の穴や鼻の周辺の皮膚、わきの下、股付近が赤くなり、脂っぽい皮がぽろぽろとむける状態になり頭部は赤みを帯びて、フケが出ることもありまが痒みは無いこともあります。

 

 

皮脂欠乏症・皮膚搔痒症・脂漏性皮膚炎の原因

  • 皮脂欠乏症・・加齢などによって保湿能が低下
  • 皮膚搔痒症・・皮膚の表面の脂(あぶら)が減少することにより皮膚の水分が減少し皮膚の乾燥、甲状腺 肝臓 糖尿病などの病気が関係している事もある
  • 脂漏性皮膚炎・・・マラセチアというカビ(真菌)の一種が脂漏性皮膚炎の発症に関わっているといわれています。入浴や洗顔の不足・ストレス・寝不足・ホルモンの乱れ等

皮脂欠乏症・皮膚搔痒症・脂漏性皮膚炎の症状について

  • 皮脂欠乏症・・手足、特に膝(ひざ)から下によくみられ、皮膚がカサカサしてはがれ落ちる。ひび割れ。
  • 皮膚搔痒症・・強いかゆみ・皮膚乾燥(カサカサ) 女性に多く夏に多い。
  • 脂漏性皮膚炎・・頭や生え際、顔面など、皮脂の分泌が盛んな部位にできる湿疹赤身・皮むけ・湿気のある黄色いフケ・うろこ状フケ

 

皮脂欠乏症・皮膚搔痒症・脂漏性皮膚炎の検査について

  • 視診
  • 大鏡
  • 皮膚の観察
  • 血液検査
  • パッチテスト・・接触皮膚炎(かぶれ)の原因を確認する方法

などの検査を行い診断します。

 

皮脂欠乏症・皮膚搔痒症・脂漏性皮膚炎治療法について

基本的に薬物療法での治療となります。

 

皮脂欠乏症の治療

基本的には保湿を行う。

使用する薬剤は、ヘパリン類似物質・尿素系・ワセリン(品名・・・ヒルドイドソフト軟膏、ヒルドイドローションなど)

皮膚搔痒症の治療

神経伝達物質ヒスタミンの働きを抑える作用の薬を使用します。

使用する薬剤は、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬など

 

脂漏性皮膚炎の治療

炎症を抑えるステロイド外用薬、抗真菌剤を使用します。かゆみが強い場合は抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤の内服薬を服用。

使用する薬剤は、ステロイド外用・ニゾラール、ビタミンBの内服薬など

 

 

皮脂欠乏症・皮膚搔痒症・脂漏性皮膚炎」について訪問介護で注意したいポイント

 

皮脂欠乏症・皮膚搔痒症・脂漏性皮膚炎について解説しましたが、そんな高齢者に対してヘルパーが介護する際に日常生活で気を付けるポイントは下記のとおりです。

 

  1. 入浴時の洗身はこすりすぎないようにする。(介助時も同様)
  2. 入浴時の石鹸の使用は医師に確認する。
  3. 熱いお湯や入浴剤の使用はさける方がよい。
  4. エアコンは温度の調整で乾燥を予防する。
  5. ストレスは免疫抵抗力を弱めるので、十分に心身の休息を取る
  6. 刺激物の多い食事やアルコール、香辛料の摂取はできるだけ控える。
  7. 脂肪分の多い食事を控え、野菜の多い食生活をする。
  8. 加湿器などを使用し乾燥を防ぐ。
  9. 入浴後に塗り薬がある場合適量(指示に従い)手袋を装着し塗る。
  10. 痒みがあっても搔きむしらないように注意する。
  11. 内服薬は指示された量・時間を守り服薬管理をする(勝手に調節しない)
  12. 搔きすぎて皮膚を傷つけていないか確認する。傷がある場合は医師へ報告適切な処置をする。
  13. 痒みがひどく眠れない場合は軽くタオルで冷やす(医師の許可をとる)。
  14. 間違った薬を使ったことによって症状を悪化させる為、皮膚トラブルは皮膚科へすぐに受診をする。
  15. 悪性腫瘍など、重大な疾患の症状が皮膚に出る事もある。ほくろ・イボなど気になるものは、痛みやかゆみがなくても受診し早期に診断して頂く。

 

「かゆみ」は不眠症などにもつながり、結果的に利用者のQOLを低下させます。

訪問介護でできることを適切な行っていきましょう!

 

さいごに

今回は高齢者によくみられる疾患である「皮脂欠乏症・皮膚搔痒症・脂漏性皮膚炎」について解説しました。

加齢などが原因で皮膚のトラブルを起こす物質が減ってしまうと、皮膚がひどく乾燥し、皮脂欠乏症になってしまいます。また、外気や室内の乾燥、からだを洗いすぎるといった生活習慣なども原因の1つと考えられています。

放っておくとますます症状が悪化しますので、早い時期から治療することが大切です。

少しでも参考になれば幸いです。