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障害者介護に向いている人の特徴8選

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障害者介護を興味はあっても、どんな感じの人がいるかイメージがつかない方も居るのかもしれません。

今は高齢者の施設はたくさんあり、介護の技術を学んでいる人もたくさんいます。

高齢者の介護を経験し、障害者介護はどんな世界か、自分にも出来るだろうかと関心のある方も多いかも知れません。

私自身、障害者介護も高齢者介護も経験してきましたが、高齢者の介護をしてきた人は、1度、介護の常識を捨ててきた方がいいのではないかと思うくらい全く違うという事は理解しておくと良いでしょう。

今回は施設介護、在宅介護、両方の面から障害者介護に向いている人に共通する特徴8個をご紹介します!!

 

特徴① 相手本位の援助ができる人

 

障害者介護では、「自分で食べられる」、「一部介助で食べられる」等、食事介助が必要な人もどこまでが本人が出来るかを詳細に把握します。

そして残存機能を維持するよう、最低限の介護に徹します。

スプーンですくう事は出来ても口に運ぶことが難しい人は、スプーンを少し口に近づけるところだけを介助します。時間内に食事介助を終わらせたい、介護者自身のペースで業務をしたいと思うと、全部やってあげたくなる事もあるでしょう。

でも、私たちがやってしまうと、その方は今出来ている事も出来なくなってしまいます。早く食べ終わるよう、大きいスプーンで介助したくなる事もあるかもしれません。

しかし嚥下機能に問題がある方には、適量以上を口に入れると誤嚥性肺炎を起こすこともあります。

スピード重視の自分の都合に合わせた介護ではなく、相手に合わせた相手目線の介護を出来る人が障害者介護には向いています。

 

特徴② 勉強を怠らない人

また食事介助の話になりますが、重度障害者の施設の多くは全員に合わせた食事介助ファイルがあり、全員に対しての食事介助方法が違います。そのファイルは作業療法士などの専門職が作成しこの人はこの機能を維持してほしいというのがあり、それは介護の本でも乗っていないような、リハビリの視点での勉強が必要な内容です。

唇を自分で閉じられない人には唇を一口ごとに閉じる介助を行い、食べるために口を開けるとその状態で顎がロックされてしまう人には、顎の緊張をほぐして元に戻す介助を行いましす。

スプーンを無意識に上に引き抜くだけで、舌や唇の残存機能を奪ってしまうこともあります。

食事は食べればいいじゃないという考えの人には、障害者の介護は向いていません。

 

身体面も、障害だけでなく、命に係わる疾患を持ちながら生活している人も多いです。難病指定されているような一般的には知られていない病気の方もいます。そのような方たちに何が出来るか考える時、禁忌事項を知るためにも相手の障害、疾患の基礎知識を学ぶ必要があります。

介護技術の基礎を身に付けた後も、目の前の人に合わせた介護を工夫するための勉強を怠らない人が、障害者介護には向いています。

 

特徴③ 楽しみを工夫できる人

 

障害者には当然ながら様々な障害、年齢、疾患の人がいます。

幼児から高齢者までいるので、好きな音楽を考えただけでも全く違います。

聴覚障害があったり、視覚障害があったり、ベッド上でしか生活を送れない人もいます。そのような様々な障害に合わせ、1人1人の楽しめるアプローチを工夫することが求められます。

日常の身体介護だけでなく、日々の生活の中でどんな楽しみを提供できるか考えられる人が障害者介護では求められます。

多職種のスタッフはいますが、日常生活の日々の表情を一番見られるのは介護職です。

楽しんで生活してもらいたいという視点がなく、身体介護のみをしたい人には障害者介護は向いていません。

 

特徴④ 手間を惜しまない人

 

高齢者介護の現場では職員配置が薄いこともあり、ケガのないように、絶対に転倒させないようにと歩行にリスクのある方は車いすで移動する事が多いのが現状です。

障害者介護の現場では、多少の転倒はあるものとして捉えています。

ただ、転倒してケガをしないよう、床にクッション材を入れ、つまずきそうなものはよけて、転倒のリスクのある人は、すぐに支えられるように傍で見守り介助を行います。

ヘッドギアを装着している人もいます。歩くという機能は、歩くことによって維持できます。

日々の歩行の機会を奪い、車いすでのみ移動を行う事で歩けなくなり、それに伴い様々な身体機能も低下していきます。

見守るということは時間も大幅にかかるし、環境を整える手間もかかるし、人員配置にもゆとりがないと難しいです。

実際、障害者施設には、高齢者施設よりも比較的多めに人員が配置されています。しかし、高齢者介護の仕事をしてきた人が障害者施設にくると、余裕がない時にやっていたような、職員の手間が省ける職員本位の介護をしてしまいがちです。

 

自分の行っている介護を、これは障害者本人に必要な事かと考える視点が持てる人が障害者介護には向いています。介護する側の手間が増えたとしても、ゆっくりでも歩ける人には自分で歩いてもらう、ゆっくりでも自分で食事が出来る人には自分で食べてもらうというような待つ事が出来る人が向いています。

 

特徴⑤ こだわりに寄り添える人

障害者介護は、入所施設だけでなく、在宅介護で関わるという形もあります。在宅で生活している障害者は、こだわりが強い方もいます。

ベッドの高さを1㎝単位で指定されたり、部屋の温度や湿度にこだわりがあったり、物の置き場所にも細かい指定があったりと、何でそこまでと思う事もあります。ただ、視点を変えて相手の立場で見ることで納得する事も多いです。

 

障害者の方は体温調節機能に問題がある方もいて、そのような人は少し部屋が暑くなるとすぐに熱を出します。

障害者の方は、体調が悪くなるといつも出来ていた事が出来なくなる人が多く、自分の体調管理に過敏になっているという理由があります。

また、ベッドから車いすに移乗するときも、足の着く位置が少し違っていたり、ベッドの高さがいつもと違うだけで足に力が入らず、立ち上がれない事があります。

物の置き場所も、手を動かすのが困難な方は少しずれるだけで手が届かなくなる事があります。

どの範囲に置いてもらうと自分で取ることが出来るという事を、ご本人で把握していています。私達からしたらほんの数㎝、ほんの1~2℃でも、障害者本人にしたら大きな問題な事もあります。

こだわりに寄り添い、ご本人が安心して暮らせるような介護を出来る人が、障害者介護には向いています。

 

特徴⑥ 適正な距離感を保つことができる人

 

在宅介護場面では、高齢者介護と同じように障害者介護を行っていると、自分では気づかない内に距離が近くなりすぎている場合があります。(精神的な面で)

言い方を変えると介護者への依存的になってしまうということです。

すべての障害者という訳ではありませんが、障害者の多くは社会との繋がりが薄いために社会性が低くなりがちです。そのため、人との距離感を上手く保つことが出来ない人も多くいます。

何でも介護者が障害者の代わりに行ってしまうと、障害者自信は安心し嬉しく感じてはもらえますが、それがいつの間には依存心になり介護者自身がしんどくなってしまうこともしばしばあります。

障害者介護は介護者とのかかわりの中で障害者自身の力を高め社会性を身に着けていくことが大事になります。自立とは自分の言動や行動に「責任」を持つということでもあることを忘れないようにしましょう。

 

特徴⑦ 怒りのコントロールできる人

介護の仕事は門戸が広く、身体介護の技術に関しては、勉強や経験で大半の人は身につけるのが可能です。

しかし、近年の施設での職員の虐待のニュースを聞くと、技術的な事はクリアしても、介護をしてはいけない人もいるのではないかと感じます。

介護の仕事をしていると、認知症の利用者に暴力を振るわれたり、攻撃的な利用者に暴言を吐かれたりします。そのような場面では怒りの感情が湧くこともありますが、アンガーマネジメントが出来ない人は、障害者介護に関わらず、介護職全般に不向きです。

誰に対してもそういう反応をする人なら病気がそうさせているんだと理解したり、孤独な環境がそうさせているんだと理解し、真っ向から受け取らないようにする気持ちの切り替えが必要です。

相性もあるので、無理に関わらないのも一つの方法です。

「してあげている」という視点で介護を行っていると、「こんなにしてあげているのに何で?」という怒りに変わりやすいです。相手目線でものを考えられると、「体調が悪いのかな?」「相手にとって自分が苦痛なら、あえて距離を置こうかな?」「食事が口に合わないのかな?」と、怒りではなく、相手に寄り添う答えを導く事が出来ます。

 

トラブルに一人で悩まず、職員同士で相談し合える関係性を築くことも大切です。

 

特徴⑧ 人が好きな人

障害者の方は言葉でコミュニケーションをとれない方も多い分、介護士人間性や本心にすぐに気づき、ごまかしが利きません。表面的に取り繕っても心は目に表れ、介護の手つきの乱暴さ等から相手に伝わります。

根本的に人が好きで、目の前の人に笑ってもらいたい、幸せに過ごしてもらいたいと願い、心を砕ける人が、障害者介護、そして介護職全般に向いています。

 

最後に

障害者介護に向いている人に共通する特徴8個は

  • 相手本位の援助ができる人
  • 勉強を怠らない人
  • 楽しみが工夫できる人
  • 手間を惜しまない人
  • こだわりに寄り添える人
  • 適正な距離感を保つことができる人
  • 怒りのコントロールができる人
  • 人が好きな人

でした。

私自身、高齢者介護をしてから障害者介護の世界に入ったので、入ったばかりの頃は同じ介護の仕事でもずいぶん環境が違うなぁと驚きました。今回の記事が少しでも参考になって障害者介護をしたいと思ってもらえる人が増えれば良いなと思います。