「帯状疱疹」とは?訪問介護で気を付けたいポイントを解説。
高齢者によくみられる病気「帯状疱疹」とは?
帯状疱疹とは通常、体の左右どちらかの神経の流れに沿って赤いブツブツとした発疹や水ぶくれが数か所できる病気です。
水痘・帯状疱疹ウイルス(感染力が非常に強いヘルペスウイルスの一種)を原因として発症します。
水ぼうそうにかかった経験がある人なら、誰でも発症する可能性はあります。しかし元気な人ならウイルスの活動はおさえられますが、疲れやストレスなどの影響で体の免疫力が下がった時に発症しやすいと言われています。
顔面神経麻痺や難聴など合併症を起こす事もあります。神経の損傷によってその後も痛みが続きます。
「帯状疱疹後神経痛(PHN)ピーエイチエヌ」と呼ばれ、最も頻度の高い合併症で約2割の方が3か月以上の痛みが続く場合もあります。
帯状疱疹の予防の方法はあるの?
原則50歳以上の方が帯状疱疹ワクチンの接種で予防をすることも可能です。
- ビケン製の生ワクチン
- シングリックス
の2種類があります。
ワクチンは任意接種で1回接種となっています。
帯状疱疹は50歳代から発症率が高く、80歳までの約3人に1人がかかります・・・
帯状疱疹の病状について
どこに発疹はできるの?
特徴は左右どちらかの胸、腹部、背中、顔、(目の周り)頭部などです。
2~3週間で黒褐色のかさぶた状態に4~6週間くらいでかさぶたが取れていきます。
症状は?
最初は、かゆみ、チクチク・ヅキンズキンとした痛みやヒリヒリ・ピリピリとした痛みをともないます。
その後は発疹(水ぶくれ)が帯状に広がり強い痛みがあります。
昼、夜と、問わず強い痛みで日常生活に支障をきたすことはあり、痛みで眠れないと訴える方もいます。
その他の症状としては
- リンパ節の腫れ
- 発熱
- 頭痛
- 倦怠感
などを伴うことがあります。
治るまでどれ位の期間なの?
個人差はありますが発症後1~2週間目をピークに4~8週間位で治りますが、抵抗力の問題もあり長引く人もいます。
帯状疱疹の一般的な検査方法
- 問診・・・水ぼうそうにかかった事があるか。どのような症状か等
- 視診・・・発疹が体の左右どちらかに出ているか、帯状疱疹に似ている水疱性類天疱瘡・単純ヘルペスや接触皮ではないか等
- 血液検査・・・血液中のウイルス抗体を検出する感染症免疫学的検査を行います
- 病理検査・・・発疹部をとり、顕微鏡で確認します
帯状疱疹の一般的な治療方法
帯状疱疹は72時間以内に治療を始めるのが望ましいとされています。
50歳以上の場合はワクチンを接種する事で発症しても症状が軽く済む傾向があります。
- 内服薬・・・水痘・帯状疱疹ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬
- 外用薬・・・細菌や2次感染予防
- 神経ブロック注射・・・神経の周囲に局所麻酔薬を注射(激しい痛みの時に施注)
- 痛みを抑える鎮痛薬・・・非ステロイド系の消炎剤
「帯状疱疹」について訪問介護で気を付けるべきポイント
帯状疱疹について解説しましたが、そんな高齢者に対してヘルパーが介護する際に日常生活で気を付けるポイントは下記のとおりです。
- 素手で触らず、必ず手袋を着用してケアを行う。
- ケア前後に手指洗浄やアルコール消毒をしっかりする。
- 汚染した手袋を着用したままで他のケアを続けない。
- 利用者の普段の様子を把握し、生活の中での変化を観察、入浴時に全身確認し変化がないか確認する。
- ヘルパー自身も体調を崩さない様にしっかり休養をとり免疫力をおとさない様にする。
- 発疹は触るとうつる可能性がある為、発疹部分は覆う様にする。
- 患部を冷やしすぎない様にケアに注意する。(痛みを増す事がある)
- 睡眠や栄養、精神的なストレスに注意し安静を保てる様にケアをする。
- 入浴の可否は主治医の指示を仰ぐ
- 夜間帯など急激な痛みがある場合はどの様に対応するか事前に主治医に確認しておく。
- 入浴後は清潔なタオルで軽く水気をとり外用薬が処方されていれば塗布をする。
- 洗濯物は浸出液の付着を洗い流してから洗濯をする。
日常生活での免疫力を下げない様にするには・・・
- しっかり睡眠をとって頂く様に寝室などの環境整備をする。
- 規則正しく栄養のバランスの取れた食事をして頂く。
- 身体の清潔を保持 入浴や身体清拭をする
- ストレスがたまらないように運動の習慣をつける。
- アルコールは血管を拡張させるので免疫力低下時は控える。
さいごに
今回は高齢者によくみられる疾患である「帯状疱疹後」について解説しました。帯状疱疹は基本的には接触感染のため、水ぶくれの部分に直接触れることでうつります。
人から感染するものではありませんが、発症した患者のウイルスが水痘の罹患経験がない人にうつると水痘を発症する事はあります。
正しいケアを覚えて介護をする側も感染しない様に注意が必要です。介護従事者は感染症のケアをする事も多いので感染症対策の知識をもち自分の健康は自分自身で守りましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。少しでも参考になれば幸いです。