尿路感染症とは?訪問介護で気を付けたいポイントを解説。
高齢者によくみられる病気のひとつ「尿路感染症」とは?
尿路感染は尿が出る穴から細菌が侵入、逆流しその先の尿が通るための管(尿道や尿管)やその先にある膀胱、腎臓で細菌が繁殖して炎症を起こすことで発症します。
細菌が繁殖した場所が膀胱であれば膀胱炎、その先の腎臓まで細菌が上がってしまうと腎盂腎炎になります。
原因菌の約80%が大腸菌によるものとされており、特に女性では尿道が男性に比べて短い事や肛門と尿道が近いため男性よりもかかりやすい傾向にあると言われています。
なぜ細菌が入るの?
尿や尿管は通常菌が存在しない「無菌」といわれる状態です。
この無菌状態を保つために尿の酸性度や外敵の侵入を阻止する扉(弁)、免疫とバリア機能が働いているので簡単には細菌が侵入できないようになっているのです。
しかし何らかの原因で細菌が外部から侵入する場合があります。
例えば
- ストレスや疲労、薬の作用で免疫力の低下し抵抗力が弱っている
- 性交渉、手術や治療などで器具の挿入
- ウォシュレット、排便後の拭き方が不適切
- 入浴をしておらず清潔を保てていない
- 糖尿病薬などの薬の影響で細菌が付着しやすい
- 尿が出し切れず、膀胱に尿が残っていて細菌が繁殖してしまう場合
- 加齢による免疫機能の低下
などがあげられます。また前立線肥大や結石、ガン、腫瘍などほかの病気が原因で尿路感染を引き起こす事もあります。
感染するとどうなる?
膀胱で細菌が繁殖した場合は膀胱炎になります。
膀胱炎の症状としては、排尿の時に尿道に鋭い痛みがあります。
他にもピンク色の血尿が出る、トイレが近い、下腹部の違和感、残尿感などが現れます。
また細菌が腎臓に達した場合は腎盂腎炎になります。
症状は38度以上の高熱、寒気、背中の痛み、吐き気、血尿などがあげられます。
膿のような尿が出たり、透明感がなく曇ったような尿が出る、カスのようなものが混ざっている場合もあります。
尿路感染症の治療法
尿路感染症の治療は抗菌薬の内服治療をします。
吐き気が強かったり重症な場合では点滴や入院が必要になる場合もあります。
- 抗菌薬・・・クラビット、シプロキサン、バクシダールなど
3日~7日間服用します。抗菌薬は症状がなくなっても自己判断で中止せず指示通り服用することが大切になります。
「尿路感染症」について訪問介護で気を付けたいポイント
尿路感染症について解説しましたが、実際の介護現場でヘルパーが気を付けるべきポイントを下記にまとめています。
オムツ交換の回数を適切に
尿や便で汚れたオムツを何時間もつけていると、オムツの中で菌が増えて尿路感染症だけではなく皮膚がただれたり、カビ(真菌)が繁殖する原因にもなります。
清潔を保つ
1日に1回流水で陰部をきれいに洗う事で、尿道の周りに付いた菌を流す事ができます。
寝たきりなどでなかなかお風呂に入れない場合などは、朝オムツを交換する時に食器用洗剤などの空きボトルの中をきれいに洗ったものに人肌程度の温かいお湯をいれて陰部を洗い、オムツに吸収させると比較的楽に洗う事ができます。
拭き方は前から後ろに
排泄のあと後ろから前に向かって拭くと、肛門の周りの大腸菌などが陰部に付く原因になりますので陰部から肛門に向かって拭くようにしてください。
病気はしっかり治療しましょう
尿道に腫瘍ができている場合や前立腺肥大、糖尿病など排泄にもかかわる病気はさまざまあります。病気の治療をしっかりする、決められた薬をちゃんと飲む事でスムーズに排泄できたり尿路感染を予防する事にもつながります。
高齢者は症状が出にくいことがあることを理解しておく
尿路感染症の症状は高齢者の場合、自覚症状がないことがあります。
そのため排尿の状態を観察しておく必要があります。尿が濁っていたり、血尿がでていたりと尿の状態を把握しておくことが大事です。
また尿道カレーテルを留置している方の場合、尿路感染症になりやすいため、詰まりや漏れ、逆流に注意しておきましょう。
抗菌薬の副作用に注意する
抗菌薬の中には発疹や下痢などの副作用が現れる場合があります。状態観察を行うとともに医療職と連携を取りながらケアに臨みましょう。
さいごに
今回は高齢者によくみられる疾患である「尿路感染症」について解説しました。
尿路感染はデリケートな部分の事でもあるため、病院に行く事が億劫になるかもしれませんが放っておくと、どんどん症状が悪化する事があります。
他に思わぬ病気が潜んでいる事もありますので、医療職と連携を図りながら注意しておきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。少しでも参考になれば幸いです。
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