ハウツー訪問介護

訪問介護についての情報発信をしています。

不眠症とは?訪問介護で注意したいポイントを解説。

f:id:houmon-kaigo:20210924213624j:plain

今回はで高齢者によくみられる病気の一つ「不眠症」について訪問介護で気を付けたいポイントを解説します!

 

 

高齢者によくみられる病気のひとつ「不眠症」とは?

 

 

不眠症とは「眠ろうとしても眠れない」といったことが長期間続くような状態を指します。

高齢者の不眠症は60歳以上から急増し70歳以上になると30%は不眠症といわれており、多くの方が睡眠でのトラブルを抱えています。

不眠症の原因としては

などさまざまな要因があります。

 

不眠症の症状

不眠症の症状は下記の4つのタイプに分類されます。

  1. 入眠障害・・・寝つきが悪く、なかなか寝入ることができない状態
  2. 中途覚醒・・・眠りが浅いことから夜間など途中で何度も目覚める状態
  3. 早朝覚醒・・・早朝に目覚めてから、再度の入眠ができない状態
  4. 熟眠不全・・・睡眠時間をある程度確保できていても熟睡した感じが無い状態

さらに、しっかりとした睡眠を確保できていないことから、集中力の低下や認知機能の低下につながることあります。

 

訪問介護で出会う利用者の中には、「日中に何もすることが無い」から寝てしまい、夜に寝れなくてしまい昼夜逆転している方もいます・・・

日中をどう過ごすかは大事なことなのです。

 

 

不眠症の治療法の一例

不眠症の治療法では

の2つを行います。

例えば、睡眠時無呼吸症候群・レストレスレッグス症候群などの不眠につながる疾患の治療を行います。

また起床・就寝時間を一定にし体内時計を整えるよう指導し、ほかにも内服薬が原因であれば薬の見直しを行います。

不眠症治療で処方される薬は下記のとおりです。

 

睡眠薬のタイプ 効能 薬の名前(商品名)
超短時間作用型

1時間未満で効果を感じ始める。

2~4時間は効果が継続する。

ハルシオンマイスリー・ルネスタアモバンなど
短時間作用型

1~3時間で効果を感じ始める。

6~10時間は効果が継続する。

レンドルミンリスミーロラメットエバミールなど
中間作用型

1~3時間で効果を感じ始める。

24時間前後は効果が継続する。

ユーロジンサイレースネルボンベンザリンなど
長時間作用型

3~5時間で効果を感じ始める。

24時間以上は効果が継続する。

ドラールソメリンダルメートなど

 

この他にも、自然な睡眠導入を効能とした「ロゼラム」や、依存性が少ないと言われている「ベルソムラ」、精神安定剤である「デパス」なども不眠症の治療薬として用いられています。

 

 

不眠症」について訪問介護で気を付けるべきポイント

 

不眠症について解説しましたが、そんな高齢者に対してヘルパーが介護する際に日常生活で気を付けるポイントは下記のとおりです。

  • 日中をできるだけ活動的に過ごせるような仕組みづくりを行う
  • 朝のヘルパー訪問と起床を合わせてリズムを整える
  • 利用者が服用している睡眠薬が、どのタイプの睡眠薬なのかを把握しておく(上記表4タイプ)
  • 睡眠薬の影響でふらつきや転倒のリスクがあるので注意する
  • 睡眠薬の多飲に注意し、服薬確認を行う

このようなポイントに注意して訪問介護サービスを提供していきましょう!

 

不眠症は睡眠時間が重大な問題でないということを覚えておきましょう。

必要な睡眠時間は個人差があります。

大事なのでは「不眠であることから日常生活に支障がある」ことが問題なのです!

 

 

まとめ

今回は高齢者によくみられる「不眠症」について解説しました。

睡眠時間は加齢とともに短くなる傾向にあり、我々ヘルパーが出会う高齢者は、やはり睡眠時間が短い方が多いです。

睡眠時間が短くても日常生活に支障がなく生活ができていれば何の問題もありません。ただし、日中に眠気がひどかったり、認知機能が低下していたり、昼夜逆転してたり、といった症状がある方は要注意です。

少しでも参考になれば幸いです。

尿路感染症とは?訪問介護で気を付けたいポイントを解説。

f:id:houmon-kaigo:20210921212123j:plain

 

今回は高齢者によくみられる病気の一つ「尿路感染症」について訪問介護で気を付けたいポイントを解説します!

 

 

高齢者によくみられる病気のひとつ「尿路感染症」とは?

 

 

尿路感染症は簡単に言うと細菌感染によっておこる感染症です。

 

尿路感染は尿が出る穴から細菌が侵入、逆流しその先の尿が通るための管(尿道や尿管)やその先にある膀胱、腎臓で細菌が繁殖して炎症を起こすことで発症します。

 

細菌が繁殖した場所が膀胱であれば膀胱炎、その先の腎臓まで細菌が上がってしまうと腎盂腎炎になります。

 

原因菌の約80%が大腸菌によるものとされており、特に女性では尿道が男性に比べて短い事や肛門と尿道が近いため男性よりもかかりやすい傾向にあると言われています。

 

 

なぜ細菌が入るの?

尿や尿管は通常菌が存在しない「無菌」といわれる状態です。

 

この無菌状態を保つために尿の酸性度や外敵の侵入を阻止する扉(弁)、免疫とバリア機能が働いているので簡単には細菌が侵入できないようになっているのです。

 

しかし何らかの原因で細菌が外部から侵入する場合があります。

 

例えば

  • ストレスや疲労、薬の作用で免疫力の低下し抵抗力が弱っている
  • 性交渉、手術や治療などで器具の挿入
  • ウォシュレット、排便後の拭き方が不適切
  • 入浴をしておらず清潔を保てていない
  • 糖尿病薬などの薬の影響で細菌が付着しやすい
  • 尿が出し切れず、膀胱に尿が残っていて細菌が繁殖してしまう場合
  • 加齢による免疫機能の低下

 

などがあげられます。また前立線肥大や結石、ガン、腫瘍などほかの病気が原因で尿路感染を引き起こす事もあります。

 

 

感染するとどうなる?

 

膀胱で細菌が繁殖した場合は膀胱炎になります。

 

膀胱炎の症状としては、排尿の時に尿道に鋭い痛みがあります。

 

他にもピンク色の血尿が出る、トイレが近い、下腹部の違和感、残尿感などが現れます。

 

また細菌が腎臓に達した場合は腎盂腎炎になります。

 

症状は38度以上の高熱、寒気、背中の痛み、吐き気、血尿などがあげられます。

 

膿のような尿が出たり、透明感がなく曇ったような尿が出る、カスのようなものが混ざっている場合もあります。

 

 

尿路感染症の治療法

尿路感染症の治療は抗菌薬の内服治療をします。

 

吐き気が強かったり重症な場合では点滴や入院が必要になる場合もあります。

 

  • 抗菌薬・・・クラビット、シプロキサン、バクシダールなど

 

3日~7日間服用します。抗菌薬は症状がなくなっても自己判断で中止せず指示通り服用することが大切になります。

 

 

「尿路感染症」について訪問介護で気を付けたいポイント

 

尿路感染症について解説しましたが、実際の介護現場でヘルパーが気を付けるべきポイントを下記にまとめています。

 

オムツ交換の回数を適切に

尿や便で汚れたオムツを何時間もつけていると、オムツの中で菌が増えて尿路感染症だけではなく皮膚がただれたり、カビ(真菌)が繁殖する原因にもなります。

 

清潔を保つ

1日に1回流水で陰部をきれいに洗う事で、尿道の周りに付いた菌を流す事ができます。

寝たきりなどでなかなかお風呂に入れない場合などは、朝オムツを交換する時に食器用洗剤などの空きボトルの中をきれいに洗ったものに人肌程度の温かいお湯をいれて陰部を洗い、オムツに吸収させると比較的楽に洗う事ができます。

 

拭き方は前から後ろに

排泄のあと後ろから前に向かって拭くと、肛門の周りの大腸菌などが陰部に付く原因になりますので陰部から肛門に向かって拭くようにしてください。

 

病気はしっかり治療しましょう

尿道に腫瘍ができている場合や前立腺肥大、糖尿病など排泄にもかかわる病気はさまざまあります。病気の治療をしっかりする、決められた薬をちゃんと飲む事でスムーズに排泄できたり尿路感染を予防する事にもつながります。

 

高齢者は症状が出にくいことがあることを理解しておく

尿路感染症の症状は高齢者の場合、自覚症状がないことがあります。

そのため排尿の状態を観察しておく必要があります。尿が濁っていたり、血尿がでていたりと尿の状態を把握しておくことが大事です。

また尿道カレーテルを留置している方の場合、尿路感染症になりやすいため、詰まりや漏れ、逆流に注意しておきましょう。

 

抗菌薬の副作用に注意する

抗菌薬の中には発疹や下痢などの副作用が現れる場合があります。状態観察を行うとともに医療職と連携を取りながらケアに臨みましょう。

 

さいごに

今回は高齢者によくみられる疾患である「尿路感染症」について解説しました。

 

尿路感染はデリケートな部分の事でもあるため、病院に行く事が億劫になるかもしれませんが放っておくと、どんどん症状が悪化する事があります。

 

他に思わぬ病気が潜んでいる事もありますので、医療職と連携を図りながら注意しておきましょう。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。少しでも参考になれば幸いです。

 

 

※参考サイト

helper-kaigi.net

脂質異常症とは?訪問介護で注意したいポイントを解説。

f:id:houmon-kaigo:20210918131624j:plain

 

今回はで高齢者によくみられる病気の一つ「脂質異常症」について訪問介護で気を付けたいポイントを解説します!

 

高齢者によくみられる病気のひとつ「脂質異常症」とは?

 

脂質異常症は血液中の脂質の値が基準値よりも多くなっている状態を指します。

血液中にふくまれるコレステロール中性脂肪(トリグリセライド)などの脂質が、一定の基準よりも多い状態のことをいいます。

 

脂質異常症は血液検査で下記のうち1つでも当てはまると診断されます。

LDL-コレステロール 140mg/dl以上
HDL-コレステロール 40mg/dl未満
中性脂肪 150mg/dl以上
 

LDL-コレステロールは悪玉コレステロール、HDL-コレステロールは善玉コレステロールの事です。

ちなみに脂質異常症は以前は高脂血症と言われていました。

 

脂質異常症は、飽和脂肪酸コレステロール、エネルギーの摂取過多、いわゆる「食べ過ぎ」と「運動不足」による肥満が原因とされています。ただし生まれつきLDL-コレステロール値や中性脂肪値が高い人もいます。

また脂質異常症は放置していると動脈硬化を招き、心筋梗塞脳卒中などのリスクを高めます。

 

脂質異常症の症状

脂質異常症は自覚症状がほとんど無いですが動脈硬化を招く疾患であるため、脳梗塞心筋梗塞になってから脂質異常症に気づくこともあります。

 

脂質異常症の治療法の一例

脂質異常症の治療はまず生活習慣の見直しから着手し、それでもLDL-コレステロール値が下がらない場合は薬物療法を用います。

 

【処方薬の例】

  薬効 薬の種類(商品名)
LDL-コレステロールを下げる薬 肝臓でコレステロールの合成を抑える スタチン(メバチロン、リポバス、クレストール、リバロ、リピトール)
小腸でコレステロールの吸収を抑える 小腸コレステロールトランスポーター阻害薬(ゼチーア)
消化管内で胆汁酸を吸着し、体外へ排出させコレステロールを下げる 陰イオン合成樹脂(コレバイン、クエストラン)
コレステロールの胆汁中への排出を促し血液中のコレステロールを下げる プロブコール(新レスタール、ロレルコ)
肝臓へのLDL-コレステロール取り込みを促し、血液中のLDL-コレステロールを減らす PCSK9阻害薬(レパーサ)
中性脂肪を下げる薬 肝臓での中性脂肪の合成を抑え、中性脂肪の排出を促す。LDLコレステロールを下げ、HDLコレステロールを増加させる フィブラート系薬(ベザトール、トライコア、リピディル、パルモディア)
脂肪組織に作用するし脂肪の分解を抑える ニコチン酸誘導体(ペリシット、コレキサミン、ユベラN )
肝臓での中性脂肪の合成を防ぐ。血管の弾力性を保ち、血液をサラサラにする作用 EPA製剤(エパデール、ロトリガ)

 

 

脂質異常症」について訪問介護で気を付けるべきポイント

 

脂質異常症について解説しましたが、そんな高齢者に対してヘルパーが介護する際に日常生活で気を付けるポイントは下記のとおりです。

 

  • 炭水化物の取りすぎに注意し糖質コントロールを行う
  • デイサービスなど、できる限り運動をできる環境につなげる
  • 処方薬の飲み忘れや自己判断での中断をしないように服薬確認
  • 処方薬での副作用を主治医に確認しておく(便秘や下痢など消化器系の副作用がまれにあるため)
  • 利用者の動脈硬化の度合いを主治医に確認しておき、注意点を聞いておく

 

 

こういったポイントを意識して訪問介護サービスを提供していきましょう!

脂質異常症は基本的に無症状なことが多いので、利用者自身は楽観視しがちです・・・悪化してからでは遅いのでヘルパーとしては「服薬チェック」と「体重を適正に近づける」ことは意識いながら関わっていきましょう。

 

まとめ

今回は高齢者によくみられる疾患「脂質異常症」について解説しました。

脂質異常症は解説したとおり、自覚症状はない場合が多い物の、放置しておくと動脈硬化性疾患につながる危険な疾患であると言えます。

ヘルパーは決して楽観しせずに訪問介護サービスを提供していきましょう。

少しでも参考になれば幸いです。

「味覚障害」とは?訪問介護で注意したいポイントを解説

f:id:houmon-kaigo:20210917140730j:plain

 

今回はで高齢者によくみられる病気の一つ「味覚障害」について訪問介護で気を付けたいポイントを解説します!

 

 

高齢者によくみられる病気のひとつ「味覚障害」とは?

 

食べ物がおいしく感じない・まったく味がしない・口の中に変な味を感じる、こうしたさまざまな味覚の変化や違和感が出現した場合を味覚障害と言います。

体調の変化や色々な原因で起こります。食欲の低下にも繋がり、場合によっては健康悪化に繋がる可能性があります。

 

 

味覚障害の原因

未確障害はさまざまな要因から発症します。

 

味を伝える神経の障害

慢性中耳炎がある場合に味覚障害を感じる事はあります。中耳炎の手術や、鼓索神経に触れたりしたら味覚障害を発症することがあります。

顔面神経麻痺、頭部の外傷、脳血管障害が起きた時も、味覚障害を発症することがあります。

 

薬剤による障害

関節リウマチ、高血圧、パーキンソン病、糖尿病などの薬で味覚障害を発症することがあります。内服薬が、亜鉛や銅等の代謝に影響を与えていることが考えらます。

  • 内服薬の例
  • 眠剤抗不安薬
  • てんかん
  • 解熱鎮痛消炎剤
  • 抗パーキンソン薬
  • 精神神経用剤 ・不整脈用薬
  • 利尿薬
  • 抗アレルギー薬
  • 糖尿病用剤
  • 抗生剤

 

全身疾患の影響による障害

糖尿病、慢性腎不全、内分泌機能の低下による全身疾患で味覚障害が起きる事があります。

糖尿病では、神経や血管が障害される事が多く、糖尿病の方の約1/4に味覚障害の訴えがあるとされています。

 

ガンや放射線治療による障害

ガンによる味覚の低下、また頭部や頚部、脳のガンに放射線治療を行うと、口の中や喉の粘膜の炎症により味覚障害が生じることがあります。

 

口腔・のどの病気による味覚障害

風邪による咽頭炎や口腔、喉の病気、唾液分泌の低下により口の中が乾燥等で起きる事があります。

 

味覚障害の症状

  • 味がわからない
  • 苦味や渋みや塩味しか感じない
  • 本来の食品の味が変わる
  • 味の濃さがわからない
  • 下の片側だけしか味がしない
  • 何も食べていないのに食べ物の味がする

などの症状が現れることがあります。

 

味覚障害の検査について

  • 電気味覚検査・・・軽度な電流を流し神経経路に異常を来たしているかを調べる。
  • 濾紙ディスク検査・・・4味を種々の濃度でしみ込ませた検査用シートを舌の上に置き、各々の味に対する味覚障害の程度を調べる。

 

味覚障害の治療法について

味覚障害の治療は改善には時間がかかります。

  • 亜鉛補充療法
  • 原因薬剤の中止・減量
  • 口腔乾燥の治療・唾液流出の促進
  • 口腔内清掃とケア
  • 漢方薬

などを行います。

 

 

味覚障害」について訪問介護で気を付けたいポイント

 

味覚障害について解説しましたが、実際の介護現場でヘルパーが気を付けるべきポイントを下記にまとめています。

  1. 口腔ケアをしっかりする
  2. 虫歯や歯周炎などあれば歯科に受診を勧める
  3. 通院が困難な高齢者は訪問歯科診療を勧める
  4. 入れ歯の手入れをきちんとする。洗浄・かみ合わせなどが悪い場合は歯科受診を勧める(義歯の成分がとけて味を変化させることがある)
  5. 嚥下体操 発声体操を促す。
  6. 歯ブラシは清潔に保管する。複数の方の歯ブラシを一緒に入れない。
  7. 定期的に歯ブラシを交換する。
  8. 食事は亜鉛を多く含む食材を使用バランスよい食事を食べて頂く

 

亜鉛を多く含む食材】
魚介類・・・アサリや牡蛎などの貝類、うなぎ、ししゃもなど
海藻類・・・昆布、ワカメ、ヒジキ、海苔
肉類・・・牛肉、豚や牛のレバーなど
豆・ナッツ類・・・大豆、大豆加工品、ゴマ、カシューナッツ、アーモンド

 

医療連携時の注意点

  • 味覚障害の初診受診時は現病歴や既往歴、服薬中の薬を報告する。
  • 内服薬での味覚障害が起きている場合も含み医師の指示で内服の変更、内服量の指示を頂く。

 

さいごに

今回は高齢者によくみられる疾患である「味覚障害」について解説しました。

個人差はありますが年を取るほど、味覚は衰える傾向にあります。味覚が衰える原因としては、高齢になると、味蕾(食べ物の味を感じる小さな器官)の数が減少するためです。

高齢者の味蕾は、乳幼児の30~50%まで減少すると言われています。

美味しいと感じる時に好きな物を食べたいですが好きに食べると生活習慣病になりますのでほどほどにする必要がありますね。

少しでも参考になれば幸いです。

訪問介護で注意したい「脳卒中」のポイント

f:id:houmon-kaigo:20210914170412j:plain

 

今回は高齢者によくみられる病気の一つ「脳卒中」について訪問介護で気を付けたいポイントを解説します!

 

高齢者によくみられる病気のひとつ「脳卒中」とは?

 

脳卒中は脳の血管に生じる病気の総称(脳梗塞脳出血クモ膜下出血・脳動脈解離・慢性硬膜下血種)

脳の血管が破れたり詰まったりする病気です。

突然起こることが多く元気だった人が突然発症する場合が多いです。個人差はありますが発症する前に何だかの前ぶれの症状がでる人もいます。

前触れに起きる症状を理解し、脳卒中の治療までの時間が勝負です。後遺症など早期治療で変わる場合があります。

  • 脳梗塞・・脳の血管が詰まる
  • 脳出血・・脳内の動脈が破れる
  • クモ膜下出血・・クモ膜の下に出血
  • 脳動脈解離・・脳動脈の血管壁の中に出血
  • 慢性硬膜下血種・・硬膜と脳の間に血がたまる

 

 

脳卒中の原因になる疾患や要因とは

などが脳卒中の原因となるとされています。

 

脳卒中の症状

  • 片麻痺・・片側の顔や手、足などが突然、感覚が鈍くなったり、しびれたりします。
  • 言語障害・・言葉がでない はっきり発音できない
  • 視力に障害・・視野が狭くなる
  • 嘔吐・・むかむかし食べたものを吐く
  • 頭痛・・強い頭痛
  • 意識障害・・意識がうすれたりなくなる

などの症状が現れます。

それぞれの疾患ごとに見ていきましょう。

 

一過性脳虚血発作・脳梗塞の初期症状
  • 体の半身に力が入らない
  • 物が二重に見える
  • めまい、ふらつき
  • 言葉がでない、ろれつが回らない
脳出血の初期症状
  • 頭痛
  • 歩行できない
  • めまいがする
  • 嘔吐する
  • 言葉がでない、ろれつが回らない
  • 突然大きないびきをかいて眠る
くも膜下出血初期症状
  • 突然の激しい頭痛
  • 物が二重に見える
  • 片方の瞳孔が拡大する、まぶたが閉じれない
  • 痙攣

 

どんな時に起こりやすいの?

  • 入浴後
  • 夜寝ている時
  • 朝方、起床時
  • 怒る叫ぶなど興奮がひどい時

などの時に起きやすいとされています。

 

脳卒中の治療方法

脳内のどの部分にどの程度の出血や詰まりがあるか脳卒中のタイプで治療方法も変わります。

内科的治療(タイプにより治療方法は異なる)
  • 点滴・・発症後1~2週間、血液をサラサラにする
  • 抗血小板薬
  • 抗凝固薬・脳保護剤
  • 手術
  • 血種まで細い針をいれる血種吸引術等
処方薬の一部紹介
  • 血栓を防ぐ薬・・・バイアスピリン、プレタールなど
  • 血液をサラサラにする薬・・・ワーファリン、エリキュースなど
  • 脳循環代謝改善薬・・・セロクラール、サアミオン、ケタスなど
  • 血圧を下げる薬・・・アムジロン、レニベース、ブロプレスなど

 

 

脳卒中」について訪問介護で気を付けたいポイント

 

脳卒中について解説しましたが、実際の介護現場でヘルパーが気を付けるべきポイントを下記にまとめています。

 

脳卒中の初期症状を把握し異変があれば、医療職へ報告。緊急時の対応方法をあらかじめ決めておく

片麻痺があってもできる事は自分でして頂き、できない部分の介助をする(残存機能維持)

後遺症で寝返り等ができなければ定時に体位交換し、褥瘡予防に努める

塩分・脂肪を控えたバランスの良い食事をする

後遺症のため嚥下機能が低下している場合は誤嚥に注意する。食事時や服薬時は飲み込み確認を行う。

日々の生活は規則正しくストレスを貯めないために目的を見つけて頂くよう提案や助言、相談に努める

麻痺で歩行状態が不安定になれば歩行器・杖・車椅子等を提案し、安全な移動をして頂く

麻痺側は痛みも感じにくいので転倒や打撲などの危険予防に注意する

薬の副作用に注意。特に血液をサラサラにする薬や血栓予防の薬は出血に注意する

 

さいごに

今回は高齢者によくみられる疾患である「脳卒中」について解説しました。

脳卒中での後遺症がある場合、リハビリテーションは重要です。何もかも手助けするとせっかく維持している機能までが低下に繋がります。残っている機能の維持向上を目指し、できる事は自分でして頂く事は重要ですよ!

また脳卒中は再発の恐れもありますので、訪問介護では異変に気付けるように状態観察を常日頃からしっかり行っていきましょう。

少しでも参考になれば幸いです。

間質性肺炎・肺線維症の利用者への対応。訪問介護で注意したいポイントとは?

f:id:houmon-kaigo:20210910233448j:plain

今回はで高齢者によくみられる病気の一つ「間接性肺炎・肺線維症」について訪問介護で気を付けたいポイントを解説します!

 

 

高齢者によくみられる病気のひとつ「間質性肺炎・肺線維症」とは?

 

肺は肺胞という小さな袋が集まってできており、私たちはこの肺胞の壁を通じて酸素を取り込んでいます。

間質性肺炎とは、この肺胞の壁に炎症や損傷が起こる病気の総称です。

間質性肺炎は間質にさまざまな原因から炎症がおこり、壁が厚く硬くなり(線維化)、血液中に酸素が取り込まれにくくなります。さらに、線維化が進むと、蜂巣肺(ほうそうはい)と言われるような多数の穴(嚢胞)が出現します。

 

 

間質性肺炎は肺という臓器そのものの病気で、比較的ゆっくり進行する病気だと言われています。

 

 

間質性肺炎・肺線維症の原因

間質性肺炎はさまざまな要因から発症します。

  • 膠原病
  • 関節リウマチ
  • 健康食品
  • 薬剤の影響
  • ウイルス、細菌
  • 職業上の粉塵吸入
  • ペット飼育などの住環境
  • 遺伝的要因

などが原因とされています。

ただし、原因が不明の特発性間接性肺炎は、肺がんを引き起こすリスクが高いとされています。

風邪で急激に病状が悪化し、致死率が50%以上を超える急性増悪になる事もあります。

早期に受診が必要な危険な病気であると言えます。

 

間質性肺炎・肺線維症の症状

  • 呼吸困難
  • からせき
  • 労作時の息切れ
  • 発熱
  • 倦怠感

などの症状が現れます。

 

間質性肺炎・肺線維症検査について

 

問診・聴診
  • 息切れや空咳などの症状の確認
  • 息を吸ったときの異常な呼吸音(バチバチ、バリバリというマジックテープのような音)の聴診
胸部X線検査
  • 肺の大きさの変化
  • 肺活量の確認
血液中の酸素飽和度を測る検査
  • パルスオキシメーターという機械を指に挟み、血中酸素飽和濃度が何%か測定します。痛くありません。
肺生検
  • 進み具合を判断する為に肺の組織を採取し、状態確認
気管支肺胞洗浄液(BALF)の検査
  • 気管支鏡という細くて柔らかいカメラを使用して白血球(リンパ球など)を確認
6分間歩行試験
  • 6分間、平地を歩行、肺や心臓にどれ位負担があるか確認

 

間質性肺炎・肺線維症検査の治療法について

間質性肺炎の治療は、内服薬による薬物療法、呼吸器リハビリテーション、肺機能が著しく低下している場合は在宅酸素療法(HOT)を行います。

内服薬について

を使用し治療します。

また病状が進行すると、抗線維化薬やステロイドと免疫抑制薬の併用、NAC(Nアセチルシステイン)吸入などを症状に応じて行います。

※抗線維化薬とは、肺の線維化を抑える作用のなる薬剤です。ピレスパなど。

 

間質性肺炎・肺線維症」について訪問介護で注意したいポイント

 

間質性肺炎・肺線維症について解説しましたが、そんな高齢者に対してヘルパーが介護する際に日常生活で気を付けるポイントは下記のとおりです。

 

発熱や乾性咳嗽(かわいた咳)の対応は主治医に報告し処置の指示を仰ぐ

バイタル測定に加えて酸素飽和度の確認(SpO2 96~99%が理想的)

呼吸苦や咳嗽がある時は安静を促す

薬の使用方法について個人管理が難しい場合は服薬介助を行う

呼吸苦があり入浴がつらい時はシャワー浴や清拭、足浴に変更する

掃除をこまめに実施し、清潔な環境を整備する

在宅酸素療法を行う場合の取り扱い方、酸素の量を確認しておく。また酸素の機械は引火の恐れがある為、付近にライターや近くで喫煙はしない。

薬の副作用に注意する。(抗線維化薬の場合、光線過敏症や胃腸障害など)

 

さいごに

今回は高齢者によくみられる疾患である「間質性肺炎・肺線維症」について解説しました。

間質性肺炎(肺線維症)は、色々な原因があり長期間の治療が必要な場合も多いため、精神的なストレスも出てきます。また「息切れが激しくなった」「熱が続く」などの症状があれば特発性肺線維症の急性憎悪になっている可能性もありますので、通院をし早急に治療を開始しましょう。

感染性胃腸炎について。訪問介護で注意したいポイントとは?

f:id:houmon-kaigo:20210907164552j:plain

 

今回はで高齢者によくみられる病気の一つ「感染性胃腸炎」について訪問介護で気を付けたいポイントを解説します!

 

高齢者によくみられる病気のひとつ「感染性胃腸炎」とは?

 

感染性(ウィルス性)胃腸炎はウイルスまたは細菌の感染によって胃腸炎を引き起こす病気の総称を指します。

一年を通して発生する可能性はありますが、特に11月~2月にかけての冬に流行します。

 

感染性胃腸炎の種類と症状

感染性胃腸炎は下記の通りウィルス性胃腸炎と細菌性胃腸炎があります。

 

ウィルス性胃腸炎

ノロウイルス

発症初期に強い下痢や嘔吐、発熱が主症状となります。潜伏期間は1~2日、症状が続く期間は1~2日と早期回復していく傾向にあります。感染力の強いウィルスで、感染者の便や嘔吐物には大量のノロウイルスが含まれているため、手洗いなどが不十分だと感染が拡大する恐れがあります。

ロタウイルス

高齢でもロタウイルスに感染することはあり得ますが、ふつうは子供のころから何度か感染してるため、高齢でのロタウイルス感染で重症化することは非常に稀です。症状として吐き気、腹痛、下痢などですが症状は比較的軽いとされています。

アデノウィルス

下痢症状が1週間程度続きます。発熱、嘔吐の症状は比較的軽い。アデノウィルスは冬だけではなく1年を通して発症することがあります。

 

 

細菌性胃腸炎

感染性胃腸炎ではウィルス性だけではなく細菌感染による胃腸炎も含まれます。

細菌性胃腸炎

などがあります。症状としては熱発・下痢・腹痛・嘔吐・血便が現れます。

 

 

感染性胃腸炎の治療法の一例

 

  • ウィルス性胃腸炎の治療・・・ウィルス性胃腸炎に対する特効薬は存在していません。そのため対処療法となります。下痢や嘔吐からの脱水症状が強い場合は点滴で水分や電解質を補い、本人の自然回復を待ちます。
  • 細菌性胃腸炎の治療・・・最近の種類に応じた抗菌薬を服用し治療します。

 

感染性胃腸炎」について訪問介護で気を付けるべきポイント

 

感染性胃腸炎について解説しましたが、そんな高齢者に対してヘルパーが介護する際に日常生活で気を付けるポイントは下記のとおりです。

  • 必要であればOS-1などの経口補水液で水分摂取を行う。
  • 高齢者は脱水症状や体力消耗が進行しやすいので、症状の変化に注意する
  • 嘔吐による喉の痛みや出血、下痢による肛門のかぶれに対してのケアを行う
  • 感染拡大を防ぐために手洗いの徹底、排泄物、吐しゃ物の処理方法に注意する。(発症後1週間程度は二次感染期間)
  • 疑わしい症状があれば医療連携を図る

 

 

こういったポイントを意識しながら訪問介護サービスを提供していきましょう!

 

まとめ

今回は高齢者によくみられる疾患である「感染性胃腸炎」について解説しました。

感染性胃腸炎ノロウイルスを含め、感染性が強い物を多くあり、訪問介護としては利用者本人の状態はもちろんのこと、感染拡大をふせぐ必要もあります。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。