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「前立腺肥大症」の概要と介護する際のポイント

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今回は高齢者によくみられる病気の一つ「前立腺肥大症」について訪問介護で気を付けたいポイントを解説します!

 

 

 

高齢者によくみられる病気のひとつ「前立腺肥大症」とは?

 

前立腺肥大症は、前立腺が大きくなることで尿道や膀胱を圧迫し、排尿障害を起こす病気です。

前立腺精子を育てます。膀胱の下にあり精子に対して栄養を与えたり、運動能力を高めたり、保護したりする役割のある前立腺液を作っています。また、射精や排尿を調節する働きも持ちます。

通常はクルミや栗くらいの大きさ(左右径 4cm、前後径 2-3cm上下 3cm で、重さ 10-15g)で、肥大すると卵ほどの大きさになります。

なお良性の疾患であり、進行して悪性の前立腺がんに変化することはないとされています。

ただし、前立腺がんが原因となり前立腺肥大症を発症するケースはあるといわれています。

 

 

 

前立腺肥大症の原因

前立腺が肥大する原因は今の段階では、はっきりと解明されていません。

しかし、50歳頃を起点として年齢が上がるにつれて数が増えています。加齢によって性ホルモン全体のバランスも変化する事が原因ではないかと考えられています。

50歳で30%、60歳で60%、70歳で80%、80歳で90%の人に前立腺の肥大が見られることが分かっています。

また、肥満・高血圧、高血糖脂質異常症、メタボリック症候群といった病気も関係があるのではないかと言われています。

 

前立腺肥大症の症状

  • 頻尿
  • 尿の勢いが弱い、尿の切れが悪い
  • 尿が出るまでの時間がかかる、排尿の途中で止まる
  • 尿を出すのにお腹に力を入れないと出ない

進行すると

  • 尿が出なくなる(尿閉
  • 尿意切迫感、トイレに間に合わず失禁
  • 膀胱に結石ができる
  • 腎不全をおこす

などの症状が現れます。

 

前立腺肥大症の検査について

  • 国際前立腺症状スコア問診票・・・前立腺肥大症の症状の程度をスコアで評価
  • 直腸内指診・・・直接前立腺を触診 肛門から医師が指を入れて確認
  • 尿検査・・・血尿や濁りがないか 肉眼では見えない場合顕微鏡での確認
  • 尿流測定・・・1秒間にどれ位の尿が出るか検査機器で確認
  • 残尿測定・・・排尿後に尿が膀胱内あるか超音波検査で確認
  • 血液検査・・・採血での血液検査。血清PSA濃度を測定

 

前立腺肥大症の治療法について

前立腺肥大症の治療は、患者の状態に応じて、経過観察・薬物療法・外科的治療を行います。

 

薬物療法

薬は下記の通りです。

尿道の緊張を緩和する薬(α1 ブロッカー)

  • α1受容体遮断薬
  • 抗男性ホルモン薬
  • 漢方薬
  • 植物製剤

 

 ・尿道平滑筋の緊張を緩め排尿障害を改善する薬

  • ナフトピジル(フリバス
  • タムスロシン(リストリーム)
  • プラゾシン(ミニプレス)
  • シロドシン(ユリーフ錠)
  • ウラピジル(エブランチルカプセル)

 

・肥大した前立腺を縮小させることで、排尿障害を改善させる薬

 

外科的療法

手術と聞くとメスで切られて痛いイメージがありますが現在は内視鏡を用いた手術が広く行われています。

  • 尿道前立腺切除術・・・前立腺の組織を切除する術式
  • 前立腺核手術・・・内腺と外腺との間を剥がします。時間がかかっても大きな前立腺肥大に対して少ない出血で手術が可能です。
  • ホルミウムヤグレーザー前立腺核出術・・・視鏡下に外科的被膜に侵入し、腺腫被膜を破ることなく前立腺内腺を核出し。開腹手術が選択されるような大きな前立腺症例に対しても、輸血の必要なく、入院期間が3-5日程。
  • その他・・・前立腺を除去。電気メス、レーザー、超音波、マイクロ波 

 

 

前立腺肥大症」の高齢者介護で気を付けたいポイント

 

前立腺肥大症について解説しましたが、そんな高齢者に対してヘルパーが介護する際に日常生活で気を付けるポイントは下記のとおりです。

 

 

日常生活で注意したいポイント

  • アルコールは前立腺が充血し尿を出にくくしますので医師と相談して控えめにする。
  • コレステロールの多い食事は男性ホルモンを活発になるので肥大する可能性があるので控えめにする。
  • 運動の習慣を作る。
  • 刺激物の飲食は控える。
  • タバコは控える。
  • 魚料理・トマト・ブロッコリー・コーヒー・大豆製品は良いので摂取する。

 

介護で注意したいポイント

  • 排尿を我慢しないようにトイレ誘導を促す。
  • 便秘にならないように便器に座る習慣声かけをする。
  • 長時間座る事はさけ長時間の座位にならない様にする。自力での立位が困難な方には介護者が座位時間を確認し移乗介助を行う。座位時間が長時間にならない様に配慮をする。
  • 高齢者は水分補給をあまり自分からされないので定時に水分摂取を促し飲水介助をする。

 

医療連携時の注意点

  • 風邪薬や抗ヒスタミン剤精神安定剤の服用は排尿障害を悪くする成分があるので医師と相談し指示を仰ぐ。
  • 前立腺肥大症は高血圧症・脂質異常症・糖尿病・生活習慣病の人はかかりやすい傾向があるので排尿障害や、いつもと違う状況があれば受診し早期発見、早期治療に心がける。

 

さいごに

今回は高齢者によくみられる疾患である「前立腺肥大症」について解説しました。

前立腺が肥大する原因は、はっきりは、解明されていませんが中高年になると肥大する傾向があるので本人も気がつかない場合もあります。周囲の人がおかしいと感じたら専門医に受診を進めて下さいね。

最後までお読みいただきありがとうございました。少しでも参考になれば幸いです。